長引くコロナ禍で多くの大人たちも疲れを感じていると思います。絵本『きかせて あなたのきもち』を出版した先生のお話を聞きながら、大人たちが少しでも前向きな気持ちになれたらと企画しました。
ワークにとりくみ、一人ひとりが気持ちを言葉に
セミナーの冒頭、参加者が「気持ちを言葉にすること…コロナ下における子どもと私たち」と題して「ワーク」にとりくみました。参加者それぞれがコロナ下での自分や子どもたちの「気持ち」を書いてみるというもの。それぞれの声はオンラインアンケートの方法により匿名で先生に集められました。当日は、「気持ちがしんどい」「常にイライラする」「のびのび楽しめない」などの声とともに、「家にいる時間が増え家族との会話が増えた」などの意見もありました。
先生はこれらの声を一つ一つ紹介し、「ワークに取り組むことで、『しんどいのは自分だけではない』と気づくことができたり、自分を振り返ることができます」と解説。特にコロナ下では<自己覚知>(自分の気持ちや状態を把握し続けること)が大事になっていると強調しました。
先生が出版された絵本も、ワーク絵本と呼ばれるもので、書き込みスペースがあり子どもが自分の気持ちを書けるようになっています。参加者の中にも、実際に絵本を買ってみて子どもといっしょに取り組んだという方がいました。
子どものためには、おとなも大切にされる必要がある
先生はまた、①うれしいときやホッとするときは「子どもの権利」が守られているが、つらいときは権利が守られていないこと、②子ども・若者には「生きる権利」「育つ権利」「まもられる権利」「参加する権利」があること、③諸外国の首相が子ども・若者に対してコロナ下で必要な情報を丁寧に説明する努力をしていること、④子どもの「声」を大切にするためにはおとな自身が大切にされる必要があることなどを詳しく解説しました。
家族だけに子育ての責任を担わせてはいけないとのべ、子どもの権利条約は、国には、親を援助する責任があると明確にしていると指摘しました。
今後も仲間とともに学んで
講演後、参加者から感想や質問を出してもらいました。「18歳なったら若者はだれに相談したらいいですか」「学校では『みんながんばっているから、君もがんばれ』という雰囲気があり、子どもが重荷に感じている」「この2年間、コロナへの対応で仕事が忙しく、立ち止まる余裕がなかった。睡眠時間がほしい」などの声がありました。
セミナーの最後に先生は、「コロナ禍で多くの人が絵本に関心をもってもらっていることに励まされています。子どもへのコロナの影響は、今後もっと出てくるのではないかと思います。今後も子どもの権利を学んだり、仲間とともにとりくんだりしてほしい」と話しました。
参加者の一人は「ワークを通じて、他の方も自分と同じように悩んでいると知って、ある意味、ほっとしました。『子どもの声を聞くためにも大人も大切にされる必要がある』と聞き、社会のあり方をみつめるきっかけにもなりました。コロナはまだまだ続きそうなので、今後も今日のような学びの機会があれば参加したい」と話していました。
●補足(いずれも先生が講演の中で紹介してくださったものです)
公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」のチラシ(PDF)
子どもの権利が分かりやすく一覧になっています。家庭でも見やすい場所に貼るなどして日常的に意識できれば良いと思います。
先生が主催されているとりくみです。
『きかせてあなたのきもち~子どもの権利ってしってる?』 を広げるプロジェクト(メルマガ)
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佛教大学オープンラーニングセンター講座「子どもの『声』を聴くわたしになる」
4月以降、佛教大学で開催される講座で長瀬先生が講演されます。対面講座で、一般の方も参加可能とのことです。
(文責:会長)